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宇宙で実際に起きている「 X 10 万」クラスのフレア

 

http://oka-jp.seesaa.net/article/407493611.html

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▲ NASA のガンマ線バースト観測衛星スウィフトが「 X 100,000 クラス」の巨大フレアを観測した DG CVn のフレア発生時の想像図。 NASA より。

私たちの太陽で起きる太陽フレアは、エネルギーの低い順から B、C、M、X、というようにフレアの強度を区分していて、このうち、BからMまでは、それぞれの中で 10段階にわけられています。

flare-power.jpg
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上のように、C 3.5 とか M 1.3 などと、そのエネルギーの強さを現します。

しかし、「Xフレア」には上限がありません

なぜかというと、「どのくらい強い太陽フレアが発生するのかはわからない」からです。

これまでの太陽の観測史上で最も強力な太陽フレアは「 X 28 」という途方もない巨大なフレアでした。

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太陽中性子観測による太陽フレア現象における粒子加速機構の研究

このことは、

太陽活動最大期の3年後に発生した観測史上最大の 2003年の X28 クラスの超巨大フレアのこと
2014年09月15日

という記事に記したことがありますが、その中で、上の表が載せられている、名古屋大学の太陽地球環境研究所 宇宙線研究室の渡邉恭子さんという方が書かれた資料を抜粋させていただいています。

その論文には、この X 28 という太陽フレアのエネルギーがどの程度のものかということについて、

広島の原爆 10 兆発にも相当する

と書かれています。

兆、つまり、1,000,000,000,000発です。

この X 28 は、地球方向に向いていなかったために、地球は「インフラの終末」を避けることができたのですが、もし、このような、あるいはこれ以上の太陽フレアが地球にダイレクトの方向で発生した場合、2008年の全米研究評議会という機関によれば、

現代社会における電力やGPSに依存する機能、水道などのライフラインが破壊され、全世界で2兆ドル規模の被害が発生するとの試算がある。

というような可能性もあるとのこと。

日本円で約 200兆円の被害が出るという試算です。

やや大げさな試算だとしても、このレベルだと短時間での復旧は不可能だと思われ、直撃した地域はかなり長い期間、電気や通信とは無縁の社会とならざるを得ないと思われますが、このように「どのくらい強力な太陽フレアが発生するか」というのはわからないことです。

なお、観測史上での太陽フレアの上位5は以下の通りです。

1位 X 28.0 2003年11月04日
2位 X 20.0 1989年08月16日
3位 X 20.0 2001年04月02日
4位 X 17.2 2003年10月28日
5位 X 17.0 2005年09月07日

このうち、1989年 8月 16日の太陽フレアでは、カナダのケベック州において、「ケベック大停電」という 600万世帯が停電に陥るという前代未聞の大停電が発生しました。

X 20 とかのフレアでも、そのようなことが起きるわけですけれど、しかし、宇宙は広いわけで、冒頭の記事にありますように、NASA の観測衛星が「 X 100,000 クラス」の巨大フレアを地球から 60光年離れた場所にある DG CVn という恒星で発生したことを観測したのですね。

そして、何より驚くことは、この DG CVn という星の大きさは「私たちの太陽の3分の1しかない」のです。

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私たちの太陽よりもはるかに小さな星が、その太陽で観測された中で最大のフレアの1万倍ほどもある超強力なフレアを爆発させたことの発見に NASA の科学者などもかなり驚いていたようです。

さらには、その数時間後に、同じ程度の規模のフレアが観測されています。

このフレアついて書かれた 9月 3日の NASA の記事では、なぜ太陽の3分の1の星が太陽の1万倍ものフレアを発生させたのかということについて「自転速度が太陽より 30倍早いため」としています。

それにしましても、このような、つまり「 X 100,000 フレア」というような現象が実際に起きているということは、私たちの太陽も遠い昔には、同じようなフレアを作り出していた可能性もあります。

あるいは……これからだってあるかもしれません。

そして、推測さえできないですが、仮に私たちの太陽が X 100,000 のフレアなどを地球に向かって放出した場合、それは明らかに、

「地球のリセット」

になり得ると思われます。

人類を含めた非常に多くの生物のリセットです。

あるいは過去の大量絶滅の中には、このような太陽フレアが地球にダイレクトに、しかも、何度も放出したことによって起きた場合もあったのかもしれません。